突然に予期しない強大音を聴くとか、長時間やや大きな音を聞き続けると内耳性難聴(耳の中の音を感知する部位の障害)が発生します。一般に85dB以上の音で難聴が発生し得ます。大声の会話音が70dB, ロックコンサートが110dB,耳が痛くなる強大音が130dBの音です。難聴の程度は音の大きさ、聴いた時間、高さとその人の生来の内耳の強さで決まります。また発生には左右差のある人もおります。急激に発生する急性難聴と徐々に発生する騒音性難聴があります。急性難聴の発生には二つのタイプがあります。一つは突然、瞬間的に耳が痛くなるような大きな音(125〜135dB以上)を聴くとすぐに発生する内耳障害です。機械や銃器、花火、爆薬の破裂など聴いたすべての人は直後に高度の難聴、耳鳴り、耳閉感が発生し、ときにめまいを伴います。もう一つはやや小さな音(110〜125dB)を少し長く(数分から数時間)聴くと発生する内耳障害です。すべての人に起こるわけではありません。ロックコンサート、ヘッドフォンなどの大きな音が原因となることが多く、症状はほとんど片側の難聴、耳閉感、耳鳴りなどです。大部分の人は治癒しますが一部障害が残る事もあります。これらの急性難聴はすぐに治療が必要です。治療はビタミン剤、ステロイドホルモン剤、循環改善剤などを使用します。騒音性難聴は長期間騒音の中で(85dB以上)働き続けた結果いつの間にか発生する両側の難聴です。極めて徐々に進行する内耳障害です。初期には4000Hzの周波数付近に限局した聴力低下はあるのですが、会話には影響がないため耳鳴りを自覚しますが難聴を自覚する人は少ない様です。高音部および低音部へと内耳障害が広がると難聴を自覚することとなります。就業5〜15年で進行する人が多く15年でほぼ完成し、その後の変化は主に加齢変化が加わり悪化すると言われております。騒音から離れると難聴の進行は停止します。現在のところ騒音性難聴の改善は期待できないため予防対策以外はありません。長期間大音量でヘッドフォンを使用している人やロックミュージシャンもこのタイプの難聴が発生し得ると言われておりご注意ください。

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